塗装作業の最適化に向けて

SSUと従来塗装方式による比較試験結果(溶剤塗装)

SSUの効果を利用し、塗装条件の最適化を行うために、二つのケースを検証する。

「ケース1」:吐出圧を現行に比べ、減圧する

通常、エアー塗装では吐出圧を減じていくと、徐々に塗布が困難となるが、SSUを介することによって、圧力減のデメリットを抑え、低圧でも通常エアー塗装と同等又はそれ以上の塗装を行うことができる。その結果、塗料飛散を抑えることができ、塗料の使用量を容易に削減することができる。そして、塗装現場の環境改善にも寄与することになる。

「ケース2」:塗料の希釈溶剤量を減らす(高粘度化)

SSUを介することによって、塗料の粘度が調整可能な場合は、希釈溶剤量を減じた(高粘度化)塗装が可能になり、塗料の使用量削減が実現。加えて、乾燥時間の短縮も可能となる。

自動車補修用ウレタン系塗料(希釈溶剤率は70%標準)を用いて、上記のケース事例について塗装実験を実施し検証した。

<実験例1> 手動ガンで塗布した場合

手動塗装 キャリア
ガス
溶剤希釈率 塗装圧
[MPa]
塗料使用量
[gr]
コート数
[回]
仕上り 塗料削減率
[%]
従来塗装
(標準)
圧縮空気 70% 0.250 36.1 4 良好
従来塗装
(低圧)
圧縮空気 70% 0.175 27.0 5 不良
SSU
(低圧)
SSU 70% 0.175 25.5 良好 -30
SSU
(低圧・高粘度)
SSU 35% 0.175 20.6 良好 -43

吐出圧を現行(0.25MPa)に比べ30%減じた場合、エアー塗装では外観不良が発生した「従来塗装(低圧)」がSSUを使用することで、外観不良は改善し、塗料使用量が30%削減できた。「SSU(低圧)」
さらに、希釈率を35%にして、塗料を高粘度化し塗装した場合は、同党の外観品質で、塗料の使用量が現行条件に比べ43%削減することができた。「SSU(低圧・高粘度)」

<実験例2> 自動ガンで塗料使用量(吐出量)を一定にして塗布した場合、膜厚が45%上昇した

自動塗装
(ロボット)-1
キャリア
ガス
溶剤
希釈率
塗装圧
[MPa]
塗料使用量
[gr]
コート数
[回]
仕上り 膜厚
[μm]
膜厚向上率
[%]
従来塗装
(標準)
圧縮空気 70% 0.250 46.7 2 良好 19.8
SSU
(低圧・高粘度)
SSU 50% 0.175 46.7 2 良好 28.7 +45

<実験例3> 自動ガンで膜厚を一定に調整し塗布した場合、塗料使用量が最大34%減となり、手動装置と同様な効果が確認できた

自動塗装
(ロボット)-2
キャリア
ガス
溶剤
希釈率
塗装圧
[MPa]
塗料
使用料
[gr]
コート数
[回]
仕上り 膜厚
[μm]
塗料
削減率
[%]
粘度
[秒]
従来塗装
(標準)
圧縮空気 70% 0.250 43.0 2 良好 11.0 11.7
SSU
(低圧・高粘度)
SSU 50% 0.175 28.3 2 良好 11.3 -34 14.5

比較実験例1-3を通じて、溶剤塗装の場合、上記ケース1(SSU低圧塗装)とケース2(SSU低圧+高粘度塗装)のアプローチを行うことにより、塗料や希釈溶剤の使用量を削減することが可能となり、さらに乾燥時間の短縮も期待できる。

塗装効率の改善

    低圧化

  1. 現状の塗装圧より低い圧力で塗布することでオーバースプレーを抑え、塗料の使用量を削減できます。
  2. 低希釈溶剤・高粘度化

  3. 希釈溶剤量を下げることにより、乾燥時間の短縮、厚膜化を可能になります。
    溶剤量の削減と作業時間の短縮を行うことができます。

作業環境の改善

  1. 高品位にキャリアガスを調整することにより、塗装環境を改善し、工程短縮や歩留り率の向上が図れます。
  2. 希釈溶剤量を減らすことも可能になり、VOC排出抑制等の環境対策・安全衛生対策に寄与できます。
  3. 塗装条件の安定化ドライ化・貯留化・加温により、塗布条件を外的要因に影響されず一定にすることができ、安定した塗装作業と塗装効率を維持できます。